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フォーラム

銀座で開催

2009.02.28

「筆づくりフォーラムin Tokyo」開催 2009.2.21(土)


午後1時、銀座にある定員300名の時事通信ホールが満席となり、増席と会場外のモニター席で、500人近くの参加者が着席する中、「筆づくりフォーラム」は開会しました。コーディネーターは五島美術館学芸部長の名児耶明先生です。

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書筆、画筆の検証
財団法人筆の里振興事業団特別研究員の村田隆志の解説により、筆の歴史について、予備知識を頭に入れ、第1部の前半は、書筆の検証です。
現物が残っていない、平安時代の筆を、紙巻の製法で熊野の職人が再現。原毛は、鹿の尻尾周辺の柔らかくて白い毛、白真を使い、その特徴を伝統工芸士仁井本誠研氏が解説後、書家の石飛博光先生と土橋靖子先生が試筆です。小さな仮名を書くには、現在の小筆の妙味には及ばない様子、さらなる研究が必要という課題をいただきました。
後半は、画筆。今回は植物筆の「わら筆」と「筆草」を用意しました。わら筆は、江戸時代の画家、狩野探幽の直径3cmもある大筆です。これは、三井記念美術館が所蔵する現物から伝統工芸士藤川玉水氏が忠実に再現しました。 それを用いた水墨画会の重鎮、斎藤南北先生の筆さばきは圧巻。
多摩美術大学教授の島尾新先生は「1本の線を表現するのに、この筆でしか描けないということはなく、筆跡からの筆の検証には気をつけなくてはなりません。斎藤先生が、どの筆を使っても、自在に表現をされることからも分ります」と結び、聴衆も、その筆さばきを目の当たりにし、深く納得させられたようです。
090512_p2熊野の化粧筆

第2部の化粧筆は、書が趣味という日本テレビアナウンサーの鷹西美佳氏の司会により進行しました。 開会と同時に、熊野の制作技術を活かして作った化粧筆が聴衆に配られると、その肌触りの心地よさにウットリ。
ポーラ文化研究所主任学芸員の津田紀代先生による日本の化粧の歴史について解説後、元熊野筆事業協同組合理事長の竹森鉄舟氏が製作工程を紹介。
さらに、20年以上前から熊野筆を愛用しているという、ビューティーエキスパートの大場・詩K氏によるメイクの実演と「熊野筆、愛しています」と言われるくらいの熱いトークにより、熊野の化粧筆の質の高さが、女性はもちろん、男性にも強く印象付けられました。
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フォーラムを終えて
今回のフォーラムでは、筆への関心の高さが伺えました。ほとんどの参加者が、4時間にもわたるフォーラムを最後まで聴講し、また休憩時間には、伝統工芸士荒谷城舟氏による筆づくりの実演周囲は人だかりとなり、質問が飛び交いました。 そして、フォーラム終了後に出口で見送りをしていた三村裕史町長、芥川雅利実行委員長に、多くの参加者が、「良いフォーラムでした」と声をかけてくれました。
木村陽山コレクション収蔵を機に始まったばかりの「筆づくりフォーラム」。今回の東京での開催により、次へのステップを踏み出す大きなエネルギーをもらうことができました。