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収蔵品筆の里工房

木村陽山コレクション

このコレクションは、京都の書家、木村陽山(1899-1986)が生涯をかけて収集した1,000点にも及ぶ筆のコレクションです。師である山本竟山旧蔵の毛筆資料を基礎に、西園寺公望、富岡鉄斎、竹内栖鳳らの愛用した筆、熊野筆の源流ともいえる有馬筆や、日本の近代製筆の発展に功績を残した高木寿穎の資料、筆管に堆朱や螺鈿、象牙彫などの装飾が施された観賞用の筆などが含まれています。

名称
唐物青貝十六羅漢図筆
寸法
(mm)
全長 234
管長 197
管径 11
筆帽長 105
筆帽径 15
解説
本筆の筆管には、さまざまな形に切り抜いた貝の薄片を用いて装飾する「螺鈿」の技法により、十六羅漢を表している。高位の僧によって、寺院で使われたと考えられる優品である。
名称
唐物螺鈿象嵌雲龍文筆
寸法
(mm)
全長 263
管長 222
管径 21
筆帽長 92
筆帽径 30
解説
本筆は、立ちこめる瑞雲の間を、管尾から筆帽の方へ向かって天に昇る龍を螺鈿で細やかに表現する豪奢な作。筆管を置いたときに筆先が机に接触しないように穂首に近い筆管部分を太くしつつ、過剰に太い管が運筆を妨げないよう中央部分を細くした、装飾と実用を兼ね備えた配慮あるものである。
名称
唐物彫壺文紫檀羊毫壺筆
寸法
(mm)
全長 230
管長 107
管径 57
解説
筆管が壷の形に似ていることから「壷筆」と呼ばれ、装飾を兼ねて机上に立て置く。筆管には、壺の中からは水があふれ出て、幾重にも重なる同心円状の波を示す「青海波」が彫刻されている。
名称
唐物竹毫筆
寸法
(mm)
全長 201
管長 153
管径 11
筆帽長 80
筆帽径 13
解説
穂首、筆管ともに竹から作り出す「竹筆」とは異なり、竹の繊維のみを取り出し、獣毛で筆を作るのと同じように筆管にはめ込んだものが「竹毫筆」である。箱書から、木村陽山が本筆を三十年に一本の珍品と賞賛していることがわかる。
名称
柴野栗山所用蒋瑞元製竹管筆
銘 鳳毛
寸法
(mm)
(右)全長 227 管長 194 管径 9
(左)全長 252 管長 215 管径 11
解説
本筆は、江戸時代の高名な儒者、柴野栗山の遺筆である。書家である山田古香の祖父、廉庭に贈られて山田家に伝来していたもの。筆銘にある「鳳毛」は、当時日本に多くもたらされていた唐筆である。
名称
イ方御物天平筆
作家名
勝木平造
寸法
(mm)
全長 251
管長 216
管径 20
筆帽長 90
筆帽径 22
解説
日本近代を代表する筆匠、二代勝木平造が正倉院に伝存する「天平筆」を模したもの。本筆は、明治一四年(一八八一)の第二回内国勧業博覧会に出品され、有功二等賞を受賞した四本のうちの一本と思われる。二本は宮内省買上となったという。
名称
鳩居堂製イ方古本朝名人用筆
乾 坤
寸法
(mm)
「坤」
(四條大納言公任卿) 全長 262
(京極黄門定家卿) 全長 240
(瀧本坊昭乗家) 全長 288
(権大納言行成卿) 全長 254
(近衞家) 全長 283
(本阿弥光悦) 全長 249
(参議佐理卿) 全長 265
「乾」
(橘逸勢朝臣) 全長 297
(小野道風朝臣) 全長 343 
(弘法大師) 全長 315
(弘仁) 全長 283 管長 213 管径 36
筆帽長 101 筆帽径 35
解説
歴史学者、黒板勝美が古今の様々な文献を博捜して得た知見をもとに、現存していない日本歴代の書の名人たちの用筆を考証して制作されたもの。「乾」「坤」の二つの桐箱に嵯峨天皇・空海・橘逸勢の「三筆」、小野道風、藤原佐理、藤原行成の「三蹟」、本阿弥光悦、松花堂昭乗、近衞信尹の「寛永の三筆」、そして藤原定家、藤原公任の筆として作られた十一本が納められる。
名称
福枝製竹管筆 銘 頼先生山陽用筆
寸法
(mm)
全長 210
管長 170
管径 10
解説
江戸時代の文人、頼山陽にあやかって作られていたのが本筆である。美術史家、脇本十九郎と江戸の筆匠、秋葉和助の対談「明治以降の筆を語る」(『画説』四〇号)には、明治時代中期頃には有馬から「山陽外史」という筆が販売されていたことが記されている。本筆はこれに類すると考えられるものである。
名称
筆草
寸法
(mm)
全長 350
管長 288
管径 5
解説
「筆草」とは、日本全国の海岸の砂地に見られる多年草、コウボウムギのこと。茎の根元に細い毛状の繊維が密生する「葉鞘」という特殊な部位があり、ここに墨を付けて筆の代替品として用いられる。柿本人麻呂が使ったという言い伝え、弘法大師、空海が筆を浜に投げ捨てたものが草になったとする伝承など、筆草にまつわる逸話は多い。
名称
木村陽山所用古梅園製斑竹管筆
銘 万法帰一
寸法
(mm)
(筆) 全長 236 管長 188 >管径 19
(筆) 全長 287 径 28
解説
斑竹の管に、白、紫、茶の三色を縞状にかけた鋒を配する華麗な一枝で、木村陽山の好みによって制作された装飾筆。管尾に貼られていた陽山の旧蔵を示すシールには「一〇〇〇」とあり、千本の筆を集めて「千管道人」と名乗った陽山にとって、記念すべき一本であったことが窺われる。