猪熊弦一郎(1902−1993)は、東京美術学校(現 東京藝術大学)で藤島武二のもとで学び、早くから帝展で入選を重ね、特選も2度受けました。1936年からは官展を離れ新制作派協会(現 新制作協会)設立に参加し、晩年まで発表の場とします。猪熊は1938年の渡仏、1955年の渡米、その後20年にわたるニューヨーク逗留など人生の様々な転機と共に作風を変えてゆきました。色・形・それらの画面上のバランスを突き詰めるうちにモダニスム志向の具象から大胆なデフォルメ、やがて純粋な抽象に転じ、1980年代後半からは再び具象的要素が現れます。猪熊の作品は、一人の画家によるとは思えないほど時期により大きく異なって見えますが、その根底には一貫して「絵として美しいこと」を描き出すための追求がありました。
本展では、猪熊の絵画を初期から晩年までの作風の変遷をモチーフごとにたどるとともに、通常の画材以外の様々な材料も用いた自由な表現や、グラフィック・デザイン、挿絵、壁画、家具など絵画以外の仕事も取り上げ、技法やジャンルを越えた猪熊の「美しいこと」の表現へのたゆまぬ取り組みを紹介します。
猪熊弦一郎(1902-1993)
香川県高松市に生まれる。東京美術学校(現 東京藝術大学)西洋画科に進学し、藤島武二教室で学ぶ。帝展で2回特選になるなど早くから活躍し、1936年には小磯良平らと新制作派協会(現 新制作協会)を設立し発表の場を移す。1938年に渡仏した際にアンリ・マティスを訪ね、指導を受ける。1955年再びパリに向かうために立ち寄ったニューヨークに魅せられ、以後約20年間ニューヨークで制作活動を行う。絵画表現の追求の一方、上野駅の大壁画《自由》などの公共空間での造形、三越の包装紙「華ひらく」のデザインなど、多岐にわたる創作活動を展開した。
「新制作協会 広島関係会員有志による展覧会」
※7月5日(土)は、セミナー開催のため作品をご覧いただけません。
1936年、猪熊弦一郎は志を同じくする小磯良平や中西利雄、脇田和らとともに新制作派協会(現 新制作協会)を立ち上げ、晩年まで作品発表の場としました。
猪熊弦一郎展を開催するにあたり、猪熊が長く活動した新制作協会で現在活動している、主に広島在住の作家たちによる作品展を開催いたします。
(上左から) 驚く可き風景(A)(1969)/マドモアゼルM(1940)/「自由」JR上野駅中央コンコース壁画(1951)撮影:高橋章
(下左から) ヴィナス二人(1990)/オ シャレ ドゥ ラ ビュット(1939頃)/自画像(1925)/真鍮網による椅子(1950)撮影:山本糾
© The MIMOCA Foundation
この展示は下記会場を巡回いたします。
東 京・7/19(土)~9/7(日)
中村研一記念5小金井市立はけの森美術館
〒184-0012 東京都小金井市中町1-11-3 電話042-384-9800
岐 阜・9/13(土)~10/26(日)
大垣市スイトピアセンター アートギャラリー
〒503-0911 岐阜県大垣市室本町5-51 電話0584-82-2310
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