大内基康コレクションは呉市在住の蒐集家、大内基康(おおうちもとやす・1950~)が30 余年の歳月をかけて、歴代天皇や内閣総理大臣経験者など、日本史上に名を残した人々の書を中心にあつめたコレクションです。特色は、奈良時代から近現代に至るまで、各時代の人々の書を網羅していることです。これらの書からは、偉人たちの性格や人となり、人生までも見えてきます。
「書は人なり」。私たちは書を見るときに筆者の人物像に興味を持ちます。それは、筆で書かれた文字に筆者の個性・特長である「くせ」が表れるためでしょう。本展では熊野町町制施行100 周年を記念して熊野町へ寄贈された、大内基康コレクションの全作品を公開し、日本の歴史・文化を書でたどります。そして、日本史上の偉人たちの書に表れた、様々な「くせ」に注目しながら、書を見ることの楽しみ、書をあつめることの楽しみをお伝えします。
大内基康の美術品蒐集のきっかけとなった作品が「佐竹本三十六歌仙絵巻」です。鎌倉時代中期に制作されたこの絵巻は、大正8(1919)年に解体され、切り売りされました。大内基康は絵巻切断に至った経緯と、バラバラになった絵巻がたどった流転の物語に強く突き動かされ、美術品蒐集を始めました。
コレクションには古筆研究、料紙制作の第一人者、田中親美(1875-1975)によって本来の絵巻の姿が再現された模本が含まれています。今は見ることのできない巻子としての佐竹本鑑賞をお楽しみください。
歴代の天皇や公家、武家の書を中心に紹介します。
近現代の日本を築いた偉人たちの書を紹介します。