飛鳥・奈良時代筆の宇宙

写経、漢字から万葉仮名 雀頭筆

筆は、仏教や漢字と共に大和時代のころ日本へ伝えられました。当時を物語る手がかりのひとつが、聖徳太子の「法華義疏」です。法華経の注釈書の草稿だと伝えられています。太子自らの熱心な仏教布教活動は、全国に写経の習慣を広めます。

日本に現存する最古の筆、「天平筆」は、腰の部分が太く鋒先が細く、長時間同じ調子で経典を写す写経に適しています。穂先が短い雀の頭のような形から、雀頭筆とも呼ばれています。

奈良時代には、中国を訪ねた遣唐使が優れた書や道具を伝えたこともあり、身分の高い人々の間では詩文が盛んにとり交わされるようになります。更に、漢字の音(おと)を利用して、日本語を表記する試みも始まりました。万葉仮名の誕生です。万葉仮名は、平仮名やカタカナの基礎となり、日本独自の書体を生み出す礎となります。