鎌倉・室町時代筆の宇宙

動乱の世、精神性と中国宋元文化

1192年、貴族階級にとってかわり、武士階級が台頭します。鎌倉幕府の誕生です。動乱の世を反映して、禅宗が盛んになり、無常感や幽玄という新しい価値観が芽生え、栄西や道元など禅僧の書が好まれました。

室町時代になると、書の技よりも精神世界を重んじるという、中国の宋や元の書に見られる風潮が見られます。「風狂」で知られる一休宗純の書にも、形にとらわれない奔放な禅の心が伺えます。「書画同源」と謳われ、中国宋代の水墨画の影響を強く受けたのもこの時代です。