中島千波筆の達人

日本画家(長野県出身 東京芸術大学教授)

筆との出合い

筆と出合ったのは、小学校の習字の筆です。それから父親が絵描きだったことから、いわゆる絵で描く筆、水彩絵の具を使ったという感じです。

他の子供達はいわゆる水彩用の筆、ところが僕の父親は日本画家だったから、自然と日本画の筆の古いもの、古いというよりも使っていたものを分けてくれていたから、他の子と違うものを使っていたということがあります。

描くことの喜び

これを作ることによって、誰かがすごく喜ぶ。絵描きもそうでしょ?描くことで誰かが喜んでくれたり、気が付いてくれる。また開眼してくれることで精神が全然違ってくる。これが絵を描いている人間の一番の目的みたいな所があります。

自然を描く

すごい大きな大自然をある程度の画面の中に閉じ込めるんです。その閉じ込めたものが小さくなっちゃいけないんですね。大きくならないといけないということは、大自然のものよりも、より大きく表現しないといけない。その為には本物に負けちゃいけないということです。

こちらが主であるという非常に傲慢な考え方でいかないと、絵にしただけでは、全然勝てない。ですからこちらが描いてあげる、描いてあげるから喜んでねという逆の考え方でいかないと無理だと思ってやっています。

プロが描いている絵は、チョロチョロというものではなくバッシとした絵です。だからちゃんとした筆でないといけないということになるんです。