書筆－原毛による比較

鹿・狸・兎の毛

製筆原料として、鹿毛の次に多く用いられたと考えられるのが狸の毛、兎の毛である。

狸・兎の毛の筆の書き味

●土橋靖子

弾力が非常によく利き、とても書きやすい。楽である。「関戸本古今集」には、筆の先を少し前に出し、やや側筆気味に書いていると思われる線が随所に見られる。それは、毛の質により、この線も出るときと出ないときとがあり、このような線を出すには狸の筆は非常に合っているのではないかと思う。
この狸毛（右上写真は狸の原毛）は非常に書きやすく、「高野切第一種」も狸毛の筆で書かれたのではないか。

●石飛博光

狸毛の短い筆は、白真（鹿）の筆と比べて、やや硬い感じで、ばねがある。弾力性があり、むしろ楽に書ける。書きやすい。兎の毛（右下写真は兎の原毛）も同様である。