三清書屋コレクション

このコレクションは、兵庫県三木市在住の書家、公森仁が30余年の歳月をかけて蒐集した唐筆群です。「民のなかにこそ、文化がある」という考えで、中国明時代から現代に至る民間の筆匠(筆職人や筆舗)の名が刻された筆が系統的に蒐集されています。

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名称 程奕銘木管対筆
寸法 (左)全長 24.8cm 管長 19.2cm 管径 1.9cm 筆帽長 9.3cm 筆帽径 2.2cm
(右)全長 24.5cm 管長 19.4cm 管径 1.8cm 筆帽長 9.2cm 筆帽径 2.0cm
解説 程奕は宋時代(960~1279)に銭塘(現在の浙江省杭州市)で活躍した筆匠。同時代の文人・蘇軾(1037~1101)は、『東坡志林』の中で、程奕の作った筆を称賛している。一方、江戸時代末期の書家・市川米庵(1779~1858)は、『米庵墨談』の中で程奕を明時代(1368~1644)の筆匠としている。いずれにしても本筆は、職人としての名声が伝わる人物の作である。
名称 施阿牛銘骨管筆
寸法 全長 29.6cm
管長 24.3cm
管径 1.2cm
解説 施阿牛は明時代(1368~1644)に中国最大の製筆地である湖州、呉興で活躍したとされる筆匠。明の第十代目皇帝・考宗(在位1487~1505)に筆を献上した際、「文用」という名を賜ったとされる。本筆は、名を下賜される以前の筆と考えられ、非常に珍しい作である。
名称 施文用銘黒漆琺瑯花卉紋管筆
寸法 全長 24.8cm
管長 19.5cm
管径 2.6cm
解説 本筆の筆管には、蓮華形の黒檀、文様を鑿で打ち出した銀や翡翠の環、象牙など様々な材を用いられる。それぞれ繊細で非常に丁寧な細工が施される本筆は名匠・施文用の名にふさわしい筆といえる。
名称 施文用銘四角竹彫花卉紋管筆
寸法 全長 24.5cm
管長 22.0cm
管径 0.7cm
筆帽長 7.8cm
筆帽径 0.9cm
解説 筆管には「崇禎十三年庚辰秋中」と年紀が刻される。崇禎十三年は1640年にあたり、明の第十代目皇帝・考宗(在位1487~1505)に「文用」の名を下賜されてから100年以上も名を受け継ぎ筆づくりを行っていたことがわかる。
名称 瑞元銘黄楊木彫西遊記図管筆
寸法 全長 27.3cm
管長 21.8cm
管径 1.5cm
筆帽長 8.4cm
筆帽径 1.8cm
解説 黄楊が用いられた筆管には、『西遊記』の場面が刻される。木目が細かく、堅い材質である黄楊は、古来より櫛や印鑑、将棋の駒など細工品の材料として親しまれる。本筆は、人物の表情など細かな部分も精緻に仕上げられており、絵師・彫師・筆師の三人の匠によって作られた総合芸術といえる。
名称 瑞元銘象牙管紫檀斗提筆
寸法 全長 34.5cm
管長 24.0cm
管径 3.3cm
解説 象牙が用いられた筆管には、「秩叙昭宣、彌綸広大、文章揮霍、傾吐宏深(秩叙を昭宣せば、広大に彌綸す、文章を揮霍せば、宏深を傾吐す)瑞元製」と刻される。円柱の筆管に端正な楷書で刻されており、相当な練度を要する装飾筆である。「瑞元」の名をもつ筆匠には、蒋瑞元の他に郭瑞元や林瑞元などがいる。
名称 蒋瑞元銘竹管筆
寸法 全長 28.2cm
管長 23.2cm
管径 1.2cm
筆帽長 8.8cm
筆帽径 1.6cm
解説 竹が用いられた筆管には、「色酔仙桃(仙桃に色酔す)蒋瑞元精選」と刻される。蒋瑞元は、1800年頃に活躍した筆匠。蒋瑞元の筆は、幕末から明治初期にかけて多く日本にもたらされており、市川米庵(1779~1858)の『米庵蔵筆譜』や大江玄圃(1729~1794)の『学翼』などにその名が散見する。本筆は、近年まで中国に伝来したものとして資料価値が高い。
名称 林賽元銘玳瑁管象牙斗提筆
寸法 全長 29.2cm
管長 20.3cm
管径 3.3cm
解説 筆管の玳瑁から動物を切り取り、その部分に象牙をはめこんでいる。切り取った玳瑁は、筆斗(穂首と管をつなぐ部分)の象牙に貼付けられており、非常に手の込んだ作。象牙が用いられたコツ(筆の頭頂部)には「林賽元製」と刻される。林賽元は、清時代に北京で活躍した筆匠。市川米庵(1779~1858)の『米庵蔵筆譜』に「林賽元製京毫水筆」という筆が載ることから、当時日本でも流通していたことがわかる。
名称 林賽元銘四角象牙玳瑁管筆
寸法 全長 25.5cm
管長 19.8cm
管径 1.2cm
解説 筆管には玳瑁と象牙が用いられる。玳瑁とは、南方の海に生息する海亀の甲羅で、古来より祭祀に使用する神具の一部や服飾品など貴重品として使われる。筆管に玳瑁を使用したという記述は古書に散見するが、現存例は少ない。本筆は1850年頃北京で活躍していた筆匠、林賽元の作である。
名称 高士奇銘匣入堆朱龍鳳管筆
寸法 全長 25.1cm
管長 19.2cm
管径 2.1cm
筆帽長 9.5cm
筆帽径 2.5cm
解説 「堆朱」とは、木地の上に漆を300~500回程度塗り重ねてできた漆の層に彫刻を施したもの。筆管に堆朱の技法で五本爪の龍が彫刻されていることから、本筆は皇帝御用であった可能性が考えられる。本筆を収める筆匣には「珠圓玉潤 侍菜衣人 髙士奇珍蔵」とあり、清時代(1616~1912)の文人、高士奇(1645~1703)の旧蔵であることが知られる。