画家(広島県出身 白日会会員)
18歳くらいのとき、画材屋に行って油絵セットを買ったんですね。その時に、当時の私としては随分高価な買い物だったと思うんですが、その時に入っていた3本を大事に、永久に使えるものだと思って使っていた記憶があります。
一般的に油絵に使う代表的な筆、豚の毛の筆があるのですが、その良さを再認識しています。昔は描きにくい筆だなと思っていました。柔らかいイタチやテンの毛が好きだったのですが、最近は油絵で絵の具を置くという感覚が段々好きになってきて、絵の好みもありまして豚毛の筆が非常に気に入ってます。
何が描きたいのか、何を表現したいのかが先ずないと、いくら良い筆を揃えても、ある程度までしかいかないんじゃないか。例えば、立体表現するのに、向こう側にまわり込んでいるとします。
平面上で描くと一本の線なんだけれども、線の周りがグルッと回っている場合は、向こうへ行け、あっち行けと念じながら描くと結構向こうに感じてくれたりします。それは、まず理解しないといけませんが、思いの先で表現しているのは筆なので、それが以心伝心に伝わってくれる穂先を持ったものが、自分に合った筆になると思う。
私も広島に住んでいますので、筆の大産地ということで以前から知っていました。熊野に行って購入するのではなく、画材屋に行って買います。すると、例えば外国製を買ったとしても、実は熊野で作っていたということを後から知ったりする時にちょっと誇らしく思います。
人それぞれ自分に合った筆は違うと思うので、あんなに沢山の種類の筆が世の中にあるのかとも思います。