【絵画】日本画筆の用途

解説:中島千波 日本画家(長野県出身 東京芸術大学教授)

日本画について

日本画は色彩豊かな岩絵の具を膠(にわか)で溶いて定着させる日本の伝統的な絵画です。絵の具をたっぷり含む毛先の柔らかな筆を使います。

日本画の筆

「いわゆる日本画の絵の具というのは岩絵の具といって、岩石を砕いて作っているものですから、粒子が非常に粗いんです。そうするとどうしても筆の含みと出が相当よくないと駄目です。だから、毛が非常に柔らかく、細いというか、塗りやすい毛の質、そういう作り方をしてありますね。あまりボソボソにならないようにするというか。油絵とかアクリル画とか水彩画というのは、どちらかというと非常に粒子が細かいので、そういう必要があまりないとでもいうか、そのへんがちょっと違います」

筆の使い分け

「線を描くというのと、塗るという二種類です。たまに洗ったりという事をしますけども、そういう場合は刷毛とか平筆を使って洗ったりします。基本的には塗るという作業が多いので必然的に彩色筆風のものが多く使われてるというか、作家によって随分違いますけども、岩ものといって相当荒い絵の具を使う人は、それほど微妙な使い方はしないので筆の方もわりと荒っぽい感じというか。異様にぬめっと細かい絵の具でやる作家というのは、どうしても刷毛を利用したり平筆を利用したり。それからしっかりしたっていうかな、きめの細かい筆でないと描きにくいということもありますね」

筆の選び方

「触って感じるっていうのかな。科学的じゃなくて感覚的っていうのかな。そんな部分で殆ど覚えてるので、見た目だけじゃなくて肌にちょっと触ったりします。筆の目的に応じていろいろな筆があるので、全て描くものによって自由に使いやすいものを使うというのが筆だと思います」